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枉尺直尋(おうせきちょくじん)

成功や何かを成し遂げるにはよくそれとは引き換えに何かを犠牲にしなかったら得るものも得られないとは、よく言われることです。ただ具体的に何を辞めるのか。それはとても難しい。取捨選択には時に苦渋の決断と覚悟が求められます。昨日は私と会いたかったら料金が発生しますよ、という高飛車とも取れる決断をしました。一夜明けて後悔はありません。そこで今度は何を捨てるかを今日は一日中考えました。そこで出した結論は自家用車の破棄です。基本的には自転車や徒歩の生活に切り替えます。駅までも歩くことに。基本的な歩きは大好きなので苦にはなりません。現在、車はリースです。リース代、自動車保険、税金、ガソリン、メンテナンスだけでも月10万円の維持費を要します。これが浮けば年間120万円は他のことに使えます。幸いに車好きではなくむしろ自転車派です。今は店舗用のトレーラーハウスやキッチンカーに興味があります。健康増進と経費削減のためにも一役買ってくれます。出張時は今はほとんど無人店舗のレンタカーでもって最低限の経費と時間で済ませております。とても便利な世の中です。寺院内の断捨離と大掃除をしてみてもう車もいらないことに気付かされました。職場が寺院内のため通勤もありません。業務用車もあります。秘書的な人も現れて買い物もしてきてくれます。葬儀や法事の出仕もほとんど副住職や役僧がしてくれます。秘書が運転手にもなってくれます。維持費のかかるものは一掃していくことにしました。できるだけ所有はしないことです。

今の時代はよくお寺もお荷物とか言われます。フリーランスのお坊さんの時代とも言われております。大寺院ほど傾いてきており檀家離れが激しいということも言われます。大伽藍が維持できずに潰れかかっているお寺はよく見かけるようになりました。いかにしてコストを削減して収益化に成功するかが今後の命運を決めます。今ある建物をどのようにリノベーションして再生させられるかです。解体してももったいないです。貸しマンションも高値で弾ければ早期に売却も検討しております。できるだけエコ寺院にして収益性を高められるかです。当院では本堂葬儀に成功しました。書院は昼間は接客や会議に土日祭日は法事客の控室に利用しております。夜は塾ですが貸し席業としても有効利用中です。さらに遺体安置所でもあります。これからはさらに飲食業を始めるための準備をしております。厨房のリニューアルも開始します。現在、毎日、料理人が来られて試食会も催しております。さらにさらに面白くなることは間違いありません。

雑音や邪魔者が入ってくる隙をつくらないように常にわんさかわんさかガヤガヤ賑やかにしていることにしております。人間は暇人ほど愚痴っぽくなります。妬みっぽっくもなります。安藤忠雄さんも余計なことを考える暇をつくらない、いやつくっていられないほど一生懸命にやってきた。だから他人のことなど何も気にしている余裕などまったくなかった、それがよかったと言っておりました。私も人に目をやる余裕をつくらないようにしております。今、目の前にあることに没頭していたいです。無我夢中でいたいものです。脇目も振らず最後まで駆け抜けた人生で終わりたいものです。自分にも他人にも隙を与えず今、ここ、自分に集中したいものです。禅的生活こそが全的人生になるのだと思います。研ぎ澄まされて空を生き無を感じることが禅です。何ものにも振り回されずに執着を捨て孤高に潜む境地です。只管(しかん)です。ただ生きることです。無目的の中で目的を無にして無を目的にできたらと思います。無即目的、目的即無の境涯でいたいものです。無為自然(むいじねん)と言ってもよいと思います。無罣礙(むけいげ)、無罣礙です。般若は心経です。何物もなき中で空の真理を遊行するだけです。煩悩即涅槃、煩悩即菩提を生きたいものです。そんな高みを目指して今日も現世を彷徨います。冥界へ行くまでは。

明日はおはぎと稲荷寿司とそうめんの予定です。見性院名物を考案中です。私の十八番は越前おろしそばですが。あらゆる可能性を探っております。スイーツも大好物です。チーズケーキやシフォンケーキ、ホットケーキも常時つくってもらっています。それぞれの分野の職人が見つかってきております。毎日毎日、ご馳走のため太り気味の人も多くおります。できるだけ早期にお裾分けができるように取り組んでまいります。直営農場での栽培も順調に推移しております。多角経営を目指してこれからも精進していきます。ご期待ください。

令和7年5月21日

見性院住職

 

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