令和6年収支報告書

前年度の収支報告書があきらかになりました。ここに謹んでご報告をさせていただきます。二年続けて総収入が2億円越えでしたが今年は初めて減収減益となりました。また赤字決算です。ただし若干の減少であること。それと過剰な先行的設備投資を強引に仕掛けたための結果です。そこまで深刻に憂慮する内容ではありません。しかしながら住職就任以来、圧倒的な業績により増収増益を続けてきました。この三年は足踏み状態であることは否めません。勢いも落ちている実感はなくむしろ年率1.25倍での好業績で推移できるかもしれないという目標さえありました。それだけに一旦は立ち止まって今後の方針を見直す時期には来ております。言い訳にはなりますが業界全体が振るいません。葬儀、法事のさらなる減少縮小は顕著です。また墓石や仏壇仏具の売れ行きもよくはありません。また一時より樹木葬墓地の売れ行きはそこまでではありません。数字だけ見ると当院は会計事務所の顧問税理士、公認会計士からも懸念する状況にはないとのことです。それでも私的には第二の人生、折り返し地点にあり踊り場にあるようにも思います。よく言えば成熟期、悪く言えば停滞期です。次のステップに向けて自己投資には余念なく勤めております。また新規事業に向けて着々と準備はできております。身体的にも精神的にも非常に充実をしております。過渡期にもあるためじっくりと脇を固めて実力を蓄えておきたいと思います。
日本社会に目を向けてみると相変わらず政治は混乱、経済は停滞です。あらゆる分野で崩壊は始まっております。これからの国家像を描き経済再生を語り安全保障や社会保障政策について精通している為政者は見当たりません。つまり日本をもっともっと成長させて世界と勝負できる国にしていく政治家は見当たりません。逆に実体としては劣化の一途を辿っているわけです。一部の超富裕層が増える一方で全体的には貧困化しております。いわば一部の金持ちと大多数の貧困層による階層社会が形作られていると言われております。もう一億総中流社会ではなくなっているようです。低年金化問題により生活保護者の半数は高齢者とのことです。日本人は見栄っ張りでもあり相対的貧困層。つまり表向きは貧困層に見えなくとも実際には生活が苦しい人が多くパートや非正規労働者も多くなっているようです。出生率や婚姻が低下する中で離婚は増え続けております。三組に一組の離婚率も上昇しております。シングルマザーが増え続けて元配偶者からの支援のないまま置き去りにされている人が増加しているとのことです。子どもの7人に1人が貧困化というのも理解できます。女性の4割が年収200万円以下、6割が300万円以下という統計もあるようです。大企業とそれ以外の労働者の格差は広がっております。非正規雇用者のほとんどが高卒以下であり学歴貧困ということもあるようです。貧困層は貯蓄も少ないためなかなか増やせない状況にあります。一方で富裕層は資金があるためにさらに倍増させられます。貧困層によるギャンブル依存や投資詐欺の被害も多発しているようです。貧困層にある日当(日雇い)労働者は一日働いて一万円の所得を得ても毎日は働けません。どうしても諦めから喫煙飲酒、ギャンブル、ジャンクフードに偏る傾向にあると言われております。一概には言えませんが健康食には手間と時間とお金がかかるようです。米国では貧民層ほどジャンクフードに依存して不健康、糖尿病になる確率は高いようです。そのために貧民街ほどマクドナルドのようなジャンクフード店も多いようです。貧困層はそれに慣れてしまって這いあがろうとする気力もなくなり常態化もすると言われております。密かに闇バイトや出稼ぎ買春も増加傾向にあるようです。今や時代は社会に亀裂が入り分断がなされているということのようです。高学歴ほど健康ということも逆にあるようです。まさに負の連鎖です。
これでは冠婚葬祭に投じる資金はできません。当院でも遺骨の持ち込みのみが急増しております。今が正念場のため次に向けて巻き返します。今は淘汰の時代のため値上げをさせて不採算企業の撤退を密かに政府は仕向けていると一部では言われております。離合集散の合理化による経済的安定性を目論むことも一つの施策ではあります。当院もここで一度沈みしっかりと溜め込んでそこから這い上がっていくのもよいことかと今は思案しております。とにかくよい人材が集まっては来ております。今は緊縮財政の時であり私も無駄を排除しております。今回の減収減益は将来への投資や教訓にはなると思います。決してマイナスではないような気がしております。これまでがラガーマンのような生き方で攻め続けてきております。一度、立ち止まってもう一度原点に帰って奮起するもよしという心境です。後半の住職人生にあたり今回の決算はこれでよかったような気がします。有頂天にならず気が引き締まります。景気は気分次第でもあります。緊張感があればあるだけよいものです。振り返ってみてあれだけ世間から宗門から檀信徒から叩かれて窮地に立ちました。それでも果敢に挑み続けて今があります。今はあの時ほどの試練や緊張感はありません。もっと自分を追い込まないといけません。人間はなぜか厳しい環境の時の方が伸びます。必死になるものです。安定、安泰はむしろ敵かもしれません。不安定、逆境こそ最適地、最適解かもしれません。還暦前の大勝負に打ち勝ち次の大勝負に賭けます。
令和7年6月12日
見性院住職