No.04 「今はなき黒田武志老師との思い出」
 |
| |
| まず、善光寺留学僧育英会の再開をお喜び申しあげます。このたびの開山忌・辞令交付式に |
| 随喜できないこと深くお詫び申し上げます。昨年遷化した師父で先代の先住忌もあり、多忙につき |
| 申し訳なく思います。 |
| |
| ここで、黒田武志老師との思い出を少しばかり話させていただきます。4,5 年前かと思いますが、 |
| 福島県の寺院でたまたまお会いし、宿も隣室で、その晩は二人だけでゆっくり食事をしながら、 |
| 懇談させていただきました。親子ほどの年 の差がありながら、ましてやこちらはたいへん面倒を |
| 見ていただいている身、それでも出来るだけ対等に接してくださる態度には感服いたしました。 |
| その時、 老師から「いいか、一大事を成そうと思うなら焦るなよ。大概、失敗する人というのは |
| どうしても拙速になりがちなんだよ。今、目の前のことを地道にこつこつ 積み上げていってごらん。 |
| 必ず波は起こるよ。チャンスは向こうから自然とやってくるからその時つかめよ。」また、こんなことも |
| 「自分はちょっと事業欲が 強すぎたんだよな。」とポツリとおっしゃたことも忘れられません。 |
| ご老師は本当に正直な寛大な方なんだなあと思いました。住職となった今、時々、老師のことを |
| 思い出し、その謦咳に接することが出来たことをありがたく思います。 |
| |
| 私は学業生活が長かったため、今でも他の奨学金の返納に苦労しておりますが、できるでけ、 |
| 寄付行為はするようにしております。自分の生活は質素にしても恩 返しすることが学業ができた |
| ものの勤めと肝に銘じております。妻は家庭的経済的理由により進学できなかったため、自分の |
| 小遣いをよく、あしなが育英会、ガザ地区、福祉団体等々に寄付しております。二人の共通の夢の |
| 一つに育英会を設立したいというものがあります。これも善光寺育英会がなかったら考えつかなか |
| ったことかもしれません。夢で終わるかもしれませんが、あきらめずにやっていくつもりです。 |
| |
| 最後になりますが、今は亡き黒田老師のご冥福を心からお祈りし、また貴育英会の益々の隆盛を |
| ご祈念申し上げ擱筆といたします。 |
| |
※ ※ ※ |
| |
| こちらの文章は横浜善光寺発行の季刊誌『成寿 第40巻/平成21年12月20発刊』より転載させて |